【実話系怪談】忌奇怪会~kiki-kaikai~【本当にあった怖い話】

Twitter→https://twitter.com/kikikai76211126?s=09 怖い話を集めています。 ある程度見て頂ける人が増えたら、wordpressなどを使って原文も合わせて投稿したり、 コメントなど頂けた人気の高い話は朗読系YouTubeでも公開しようと考えています。 現在はまだまだ細々と、1日1話投稿出来れば良いかな…と。二次使用などはご相談下さい。

九夜目『濡れている』

これはAさんが東京都S区で体験した話です。

大学を卒業して上京してすぐのこと、会社の近くにある住宅街の古いアパートで一人暮らしを始めたAさんは、初めての社会人としての生活に四苦八苦しながら日々を過ごしていた。
慣れない仕事に疲れ、家に帰ったらすぐに眠りについてしまう日々を送っていたが、段々とその生活にも慣れてきた。
ある日、新しくできた友人と部屋で談笑していたとき、喫煙者だったAさんのタバコがなぜか濡れていた。
友人も特に何もこぼしてはおらず不思議に思っていたが、その日はそれ以上不可解なことは起こらず、お開きとなった。

それから1週間の間に少しずつ異変が起き始めた。
風呂場に置いていた石鹸が何故かものすごい早さで無くなっていく。排水溝に自分の髪より長い髪が絡んでいる。トイレで用を足していると脂汗が吹き出て体調を悪くするなど、仕事の忙しさで今まで気にも止めてなかった事が、少しずつ不気味に思えてきたそうだ。

その数日後、ベッドで寝ていたとき金縛りのように全身が動かなくなった。Aさんもこの部屋で良くない事が起きているのは分かっていたので、ある程度覚悟は出来ていた。
声を出そうにも出せない、体も動かせない状態で、足首を誰かに掴まれる感覚があった。徐々にその手は這い上がってきて、人の嫌な重みを感じる。動けないAさんの胸元までその手が上がってきた。真っ暗な部屋にも関わらず、Aさんを方を見た髪の長い人の目は穴が空いたように黒かったそうだ。

それを見た瞬間、恐怖に慄いたAさんはようやく大声を出して目を覚ました。
あれは夢だったのかもしれないと思ったが、足首には何かに掴まれたようなあざがあり、胸から下にかけて何かが腐ったような匂いのする液体で、服が湿っていたそうだ。