これはIさんが東京都H市で体験した話です。
私は病院に勤めている。
病棟勤務で夜勤があり、夜の病院といえば怖い話がつきもので私の経験した数ある怖い話の中のひとつの話。
4名で1フロアの夜勤をしており、その日は立ち上がり転倒の危険のある患者がいたためナースステーションの近くにベッドごと患者を連れてきて見守りながらの夜勤だった。
通常はステーションの電気はつけているのだが、その患者が眠ったこともあり電気を消し、常夜灯だけにしていた。
フロアには死角になる場所があるため廊下にカメラが設置してあり、夜勤時はモニターでそのカメラを見ながら勤務している。
例えば、足音がしたのでモニターを見ると○○さんがトイレにいくため歩いているな、といった感じに使用しているのだ。ただ、常夜灯だけのステーションでモニターを見ているだけでも不気味な雰囲気がある。
夜も遅くにナースコールが鳴ったため、病室へ訪室した時の事。その病室の患者は寝息を立てて眠っていた。枕元のナースコールを見ると根元から外されていた。
そのときは寝ぼけて外したのかな、くらいにしか思わなかったため、取り付けてステーションに戻り、モニターを見ていると廊下を白いモヤのようなものが動いていた。カメラの映る範囲を行ったり来たりしているような感じでふわふわと移動している。
なんだろうと思い、確認のため行ってみたのだがそこには何もなかった。ステーションに戻り、もう一度モニターを見ると何も映っていなかった。他の夜勤スタッフは休憩中で誰も映像を見ていなかった。
気のせいか…
そう思っていると他のフロアから連絡が来て、この病棟から1週間ほど前に他の病棟に移動した患者が亡くなったとのこと。
ちょうど白いモヤが動いていた場所の病室にいた患者で、よくナースコールを外して「おーい」と叫んでいる患者だった。
他のスタッフと、知らせに来てくれたのかもしれないということを話し、正体がわかれば怖いものではなかったのだが、不思議な体験だった。