百七十四夜目『インターホン』
これはKさんが京都府K市で体験した話です
大学生の頃の事。
田舎から市内に憧れをもち、一人暮らしを始め3年程経った頃。
大学では友人、後輩もでき不規則な生活ながらも楽しいと感じる生活を送っていた。
ある日の夜、友人後輩含め5人程で、私の家で飲み明かそうとなった。
他愛もない話も底をつき、怖い話でもしようかとなった。
深夜1時頃から始まった怪談話、1時間程過ぎた頃でだろうか。
私の家のインターホンが鳴った。
「うるさくしすぎたかな」と怒られる覚悟でモニターを見たのだがそこには誰もおらず、廊下が映っているだけ。
隣人の方がこっそり押したのかなと思い、玄関のドアを開け確認したがそこにも人の姿すら無し。
単純にその時「こわっ」と感じていたが、もしかして注意だけのインターホンだったのかなと考え、部屋に戻った。
友人たちには
「誰もおらんかったわ、こわー」
と笑いながら伝え、続きを始めようとした時。
ある後輩がふと一言
「もしかして○○さん(私)の死んだツレが来たんじゃないですか?笑」
と。
その瞬間だった。
「ピンポンピンポンピンポン」
インターホンが立て続けに3回鳴り、全員一瞬で静まり返った。
画面を見ても誰も映っておらず、外から逃げるような足音も聞こえない。人の気配すら何も感じない。全員が背筋を凍らせた。
この出来事の数日前に、私の田舎の友人が実際に自ら命を絶つという事があった。ちょうどその事について話していた時に起こった出来事だった為、余計怖かった。
その日はこの出来事以降、怪談話を辞め、全員静まり返った中、朝までただただ起きて過ごすだけの日となった。
後日私は、地元に帰り亡くなった友人のお墓参りに行こうとしたのだが、家族、亡くなった友人の奥さん等に聞いても場所を教えてもらえず、また他の地元の友人全員に聞いても誰も場所を知らず、教えてもらえなかったそうだ。
葬儀自体も家族葬で行われ、式に参列した友人は誰もいなかったとの事。
何故、誰も教えてもらえなかったのかは今でも分かっていない。
ただただ思うのは無くなった友人は寂しかったのかなーと今でも思う。
よく耳にする「霊は寂しいから」「怖い話すると来る」「楽しそうな所に来る」みたいな事、
本当にその通りなのかな、と感じている。