百五十九夜目『内線』
これはLさんが大阪府O市で体験した話です。
数年前、総合病院で受付事務として働いていた。
夜の9時頃まで仕事をしていた際に、内線が鳴った。 他の部署でも夜遅く残ることもあるため、どこかから掛かってきたのだろうとすぐ出た。しかし相手は何も話さない。
相手がすぐ切ったのかと思い、ナンバーディスプレイを確認する相手の番号が表示されており、通話中になっている。受話器を耳に当てたまま発信先の番号を調べると、そこはカルテ倉庫であった。
すると電話は切れてしまった。悪戯だとするなら、夜間停止してあるメインのエレベータの起動と、カルテ倉庫の鍵を警備員に頼まなければならない。そこまで手の込んだ事をするだろうかと不審に思い、近くにいたベテランの先輩にそのことを話すと、この病院はよく出ることで有名で、事務員でも怖い思いをする人が2.3年に1人いると教えてくれた。
夜は使われていないはずのない手術室から内線があったり、看護師が整形外科の病棟で足がない霊を見たり。主に夜勤のある看護師や当直の事務員が体験しているようだった。
私自身、幼い頃から心霊体験をしたことがまったくなくその日までは霊の存在も信じていなかった。
しかし、1ヶ月に何人も亡くなるこの病院では日常茶飯事なのかもしれないと考え始めた。
後日、カルテ倉庫に用があった時に中を確認すると、なぜか水浸しになっていたため別の意味で大騒ぎになった。