百九十夜目『耳鳴りの噂話』

これはＩさんが大阪府Ｎ市で体験した話です。

高校１年生のときのことです。
私が通学に使う電車の中で女子高生が話している声がなんとなく聞こえてきました。

この電車に乗ってると耳鳴りが聞こえて耳鳴りが止まると同時に人身事故が良くある、というなんとも気味の悪い話でした。
ただの噂かもしれませんが、私も友達から聞いた話はこの電車に乗ると耳鳴りがする、聞こえた人は幽霊が見えてしまうというものでした。

「怖いね〜」なんて言いながら話をしている女子高生の一人が

「耳鳴りがするんだけど」

と言い出した。私は怖くなり次の駅で降りたのですが、その日はその時間に人身事故があったそうです。
それから数日はその話が怖くて電車通学を控えていたのですが、ある日時間が間に合わず電車で通学することになりました。ソワソワしながら何事も無く降車駅まで残り２駅になり、少し安心していた時です。

耳に違和感を感じ、すぐに耳鳴りの前兆だと分かりました。
怖くて早く降りたかったのですがテストがあった為我慢することにしました。
聞こえにくい耳から段々『キーン』という音が聞こえ始めました。
私はこの噂話を聞いてから耳鳴りが起きたことは一度もなく、物凄く不安になりマフラーで耳を塞いでいると、ゆっくり耳鳴りが止んでいきました。

「もう大丈夫だ」とマフラーを取ると、私の前には血だらけの大きな女性の顔があり、私はそこで気を失ってしまいました。
気づいた時には駅の事務所でその日も人身事故があり亡くなったのは女性だと聞きました。
それ以来私は怖くて通学に電車を使うことは無くなりました。