【実話系怪談】忌奇怪会~kiki-kaikai~【本当にあった怖い話】

Twitter→https://twitter.com/kikikai76211126?s=09 怖い話を集めています。 ある程度見て頂ける人が増えたら、wordpressなどを使って原文も合わせて投稿したり、 コメントなど頂けた人気の高い話は朗読系YouTubeでも公開しようと考えています。 現在はまだまだ細々と、1日1話投稿出来れば良いかな…と。二次使用などはご相談下さい。

百七十六夜目『笑う男』

これはHさんが埼玉県S市で体験した話です。

母曰く、幼い私は仏壇の前やお墓が好きだったり、周りの人には見えないものと遊んでいるような変わった子だった。
人ならざる者の気配はもちろん、生きている人のオーラや、オーブ、赤い光の線等…変わったものが見えていると自覚したのは中学になってから。
いつの間にか成長とともに、あまり良いものではないと感じるようになって、見ないように意識して過ごすようになった。

電車通学だった私は、空いている車両を探して乗り、扉から一番近い角席に座って本を読みながら帰るのが日課となっていた。
ある日の帰り。
各駅停車に乗り、武蔵浦和駅で快速電車に追い越されるのを待ちながら、停車した車内でいつも通り本を読んでいた。
視界の端に動いているのが見えて視線を上げると、閉じているドアの前には20後半〜30代前半くらいの男性が立っているのがが見え、何やらしきりにもぞもぞ動いていたのが少し気になった。
何の気なしにそのまま男性の方を見ていると、その人は閉じたドアを通り抜け、ストンと線路に落ちて行ったのだ。

嫌なものを見た。本に視線を戻すと、また視界の端に動く物が見える。恐る恐る見てみると、またその男性がいる。落ちてはまた現れ、それを何度も繰り返していた。周りには私以外誰もない。

これは出会ってはいけないものだ…と、怖くて立ち上がることすら出来ず固まっていると、やっと電車が動き始めた。それと一緒にその男性も消えていった。
それからはその駅に長居しないよう避けていたので、見ることはなかった。

24歳になった私は、この世ならざるものを何となく感じることはあれどほとんど見えなくなった。
そんな今でも思い出す度に怖くて震えるのは、あの男性がにんまり笑っていたせいかも知れない。