【実話系怪談】忌奇怪会~kiki-kaikai~【本当にあった怖い話】

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百五十五話目『叫び声』

これはMさんが埼玉県N市で体験した話です。

大学生の頃、アパートを借りて一人暮らしをしていた。
安いわりには最上階にあり入り口がオートロックで、大家さんが同じアパート内の一室に住んでいて、私の住むアパートの隣にもう1棟アパートがありその周りは一軒家が立ち並び、すぐ目の前には小学校の見える住宅街で、防犯的にも女の一人暮らしには良い場所だと思った。

ある日のこと、それは夜の8時くらいだったと思う。部屋で一人でくつろいでいると、急に女の人の激しい悲鳴が聞こえた。
びっくりして固まっていると、今度は
「助けて!」
とはっきり聞こえました。
悲鳴は断続的に、
「きゃー!」「助けて!」「やめてこないで!」
といった具合で繰り返されていた。
声が聞こえたのはリビングの窓の方で、その先に小学校があるため、誰かが校庭に入り込んで大声でふざけているのだろうと思った。

しかし、一人の悲鳴以外に他の人の声は聞こえず、ふざけている時の悲鳴というのは、時折笑い声なども入ったりすると思うのだが、その女の人の悲鳴は本当に切羽詰まったような金切り声で、とてもふざけているようには思えない。

110番通報しようと携帯電話を手にしかけたが、急に違和感に気が付いた。
前述した通り、私のアパートは住宅地に建っていて、そんなところで女の人の悲鳴が聞こえたなら、誰かしら窓を開けて確認する人もいるはずだ。
しかし、窓を開けて外を見回してみても、他の家の窓が開いている様子は一切見られない。
アパート以外は一軒家ばかりなので、家族で住んでいる人もたくさんいるはず。
窓を開けて「今の声はなんだろうね?」などと話している声がどこかから聞こえてきてもいいくらい、家は密集している。
窓を開けるとさっきまで聞こえていた悲鳴も止み、辺りはしんと静まり帰っていた。

何かがおかしいと思い、私は窓を閉めて自室で息をひそめた。
5分近く続きていた悲鳴はそれ以降聞こえなかった。
その後パトカーの音が聞こえることもなければ、翌日以降も近所で事件があったとか、不審者が出たという話も聞かなかった

同じアパートに住む大家さんに、この事を話してみると、「あぁ…」とだけ言って暗い表情になった。
何か知っているならと話を伺うと、私の住む部屋は厳密に言えば事故物件かどうかギリギリの所で、部屋で誰かが亡くなった訳ではないが、私のように一人で暮らしていた女性の部屋に男が侵入したようで、その女性は小学校が見える窓から落下して亡くなってしまったらしい。
それから住む人がたまに叫び声が聞こえるというので家賃が安いそうだ。

あの声は室内から聞こえていた事にゾッとして、私もそのアパートから引っ越した。