【実話系怪談】忌奇怪会~kiki-kaikai~【本当にあった怖い話】

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百二十七夜目『やっぱり』

これはMさんが愛知県O市で体験した話です。

中学生のころ祖父母との同居を解消し、家族4人でアパートに移り住むことになった。
近くにお寺と墓地があり、私と妹は幽霊やお化けといった類のものが苦手だったので、その場所に住むことを反対したが
駐車場付きで家賃もかなり安かったらしく両親はそこに決めてしまった。

その家に住むようになってから、次第に夫婦仲が悪くなっていった。もしかしたら同居を解消し、祖父母の目がなくなったことで些細なことも言い合うようになったのかもしれないと、あまり気にしないようにした。
しかしそれは段々とエスカレートしているようで、毎日のように怒鳴り合い、物を投げ合うようになるまで、そう時間はかからなかった。

酷い環境についていけなくなってしまったのか、妹まで情緒不安定になってしまった。
学校も休みがちになり、時折誰かの泣き声が聞こえる、と見えない声や誰かの気配に怯えるようになった。
ある日、妹が入浴中にアロマキャンドルを中で使っているのに気づいた。
同性だし気にしないだろうと、一声かけるために浴室のドアを開けると、妹が自傷行為をし、腕から血を流しているところだった。
私は叫んで妹の手から剃刀を取り上げ、手当をするために部屋へ連れていった。
「なんでこんなことしてるの?」
「何かあったの?」
私の問いかけに妹はただただ黙っているだけだった。

両親が驚かないように浴室の掃除をすることにした。床に広がった血液をシャワーで流し、浴槽にはったお湯も血で赤く染まっていたから入れ替えようと水を抜いた時、赤く濁っていた水が抜けていくと、浴槽の中にはたくさんの茶色くて長い毛が残されていた。
我が家は全員が短い黒髪なのに。

それに気付いたとき、全身鳥肌が立って寒気がすごかったのを覚えている。
両親に妹の現状を伝え、家族でカウンセリングを受けることになった。
その後、元々同居していた祖父母宅を2世帯住宅にリフォームし引っ越しをすることにした。
短い期間だったがお世話になった大家さんに引っ越しの挨拶をしにいくと
「ああ、やっぱり…ごめんなさい」
と意味深な返答があるだけだった。
それ以上は怖くて何も聞けなかったが、いわくつき物件だったのかなと思っている。
妹にあのときのことを聞いても、なぜ情緒不安定だったのか覚えていないそうだ。
夫婦仲も良好で、今ではアパートで毎日喧嘩していた両親が別人だったのではなかろうか、と思えるほどだ。