【実話系怪談】忌奇怪会~kiki-kaikai~【本当にあった怖い話】

Twitter→https://twitter.com/kikikai76211126?s=09 怖い話を集めています。 ある程度見て頂ける人が増えたら、wordpressなどを使って原文も合わせて投稿したり、 コメントなど頂けた人気の高い話は朗読系YouTubeでも公開しようと考えています。 現在はまだまだ細々と、1日1話投稿出来れば良いかな…と。二次使用などはご相談下さい。

百五十二夜目『おじいさんの時計』

これはMさんが大阪府T市で体験した話です。

それは私が小学3年生の夏休みの事。
自営業の父と母が自宅近くの店舗で商売をしていたため、一人っ子の私は自宅で母の作り置きのお昼ごはんを独り寂しく食べていた時に起きた話だ。
我が家には、まだ私が産まれる前からある古い鳩時計がリビングの壁にかかっているのだが、私が物心ついた時からその鳩時計の鳩が鳴いているのを一度も見たことも聞いた事もない。鳩時計は母の父、すなわち私の祖父が買ってきたもので購入時は可愛らしい鳩が定時になると小窓から飛び出してきて時を告げていたそうだが、今ではただ時計の針が時を示すだけの掛け時計となっていた。

一人っきりの夏休みの昼、自分の部屋でいつものようにテレビを観ながらお昼ご飯を食べていると
「ポッポー・ポッポー・・・」
とリビングから聞きなれない音が聞こえてきた。慌ててリビングに駆け寄るとなんと鳩時計の鳩が小窓から顔を出し鳴いているのだ。私は目を丸くしてその光景をただ眺めていた。時計の針を見ると丁度12時を指していた。
そして1時間後の午後1時。私は期待を胸にまた鳩が現れるのを時計の前で心待ちにしていたが、何時になってももう鳩が出てくることはなかった。

夕方、両親が仕事場から帰ってきたのでこの奇妙な鳩時計の話を早速話すとそれを聞いた母が更に奇妙なことを言った。
「お店の壊れた振り子時計、今日12時に1回だけ鳴ったの」
その時、私は子供ながらに何か目に見えないものの力が働いているのではないかと、少し怖くなった。
その日夕ご飯を家族で食べていた時、電話のベルが鳴り響いた。電話の相手は病院からで、私の祖父が息を引き取ったとの連絡だった。O県に一人で住んでいる祖父が畑からの帰りに倒れているのを近くの人が発見し救急車を呼んでくれたらしいのだが、搬送されてほどなく息を引き取ったとのことだった。その祖父は鳩時計をくれた大好きな祖父であった。

数日後、祖父の葬式に両親について参列し
、遺品として母が祖父の腕時計をゆずりうけた。その時計は金で出来ていて文字盤が少し割れているようだった。
どうやら祖父が亡くなった日に転倒し割れてしまい、壊れて針は止まっていた。
その時が止まった金の時計の時刻は12時を指していた。
祖父は何か伝えたかったのかな、と今でもふと考える事がある。