【実話系怪談】忌奇怪会~kiki-kaikai~【本当にあった怖い話】

Twitter→https://twitter.com/kikikai76211126?s=09 怖い話を集めています。 ある程度見て頂ける人が増えたら、wordpressなどを使って原文も合わせて投稿したり、 コメントなど頂けた人気の高い話は朗読系YouTubeでも公開しようと考えています。 現在はまだまだ細々と、1日1話投稿出来れば良いかな…と。二次使用などはご相談下さい。

百十五夜目『蛇口の水』

これはNさんが新潟県N市で体験した話です。

中学生の時、祖父の新盆で体験した出来事。
新品のお墓を建てたのは市内でも大規模な霊園。祖父は定年後漁師をしていたので、海が見えるところにこだわって探した結果、自宅からは少し遠い場所になった。
規模が大きいこともあり、8/13は大渋滞になるほど混雑する。

私たちが行った時も渋滞していて、霊園までの道中は渋滞中に退屈しないように、新潟の名物であるポッポ焼きの屋台が出店していた。
のろのろと車が進み、無事霊園についたとき、なんとなくトイレに行きたくなった。
駐車場に小さくて古い公衆トイレがあるのが見えたけど、お墓がたくさんある霊園のトイレというだけで避けたいのが本音だった。

新盆だからとお坊さんに来ていただき、お経をあげてもらって、思ったよりも時間がかかってしまった。
いやだなと思いつつ、帰りの車も結構混んでいて、すぐにどこかに寄れる状況ではないのが明白だったので仕方なくトイレを使う事にした。
墓地や駐車場はあんなに人がたくさんいて、にぎわっているのにトイレには誰もおらず、日陰なのでなんとなくひんやりとした空気。

急いで済ませ、手を洗おうと蛇口をひねった時「ごぼごぼごぼ…」と音を立てて、何か詰まっているのかと思いつつ、蛇口に手を伸ばしてしばらく待った。
すると真っ黒の水が出てきて、慌てて手を引いたがその水は手から落ちない。よく見ると長い髪の毛の塊が手に絡みついていた。誰かがいたずらで蛇口に詰めただけだ。そう自分に言い聞かせて髪の毛を水で洗い流し、急いでトイレを出たとき隣の男性用トイレから驚いた声が聞こえた。
女性用トイレと男性用トイレは区切られているので、きっとたまたまだと思うのだが、出てきた男の人は

「蛇口から大量の髪の毛が出てきた!」

と言いながら急ぎ足で去っていた。
あとから聞いた話だが、そのトイレは最愛のご主人をなくした女性がトイレの裏の木で首つりをした場所で、とてもきれいな長い髪の毛の女性だったそうだ。
無言で私たちに何かを訴えていたのかもしれない。