【実話系怪談】忌奇怪会~kiki-kaikai~【本当にあった怖い話】

Twitter→https://twitter.com/kikikai76211126?s=09 怖い話を集めています。 ある程度見て頂ける人が増えたら、wordpressなどを使って原文も合わせて投稿したり、 コメントなど頂けた人気の高い話は朗読系YouTubeでも公開しようと考えています。 現在はまだまだ細々と、1日1話投稿出来れば良いかな…と。二次使用などはご相談下さい。

百三十九夜目『後ろの女性』

これはYさんが東京都H市で体験した話です。

2020年9月上旬の事だ。
私は霊感が全く無くこれまでに幽霊というモノを1度も見た事は無く正直霊というモノを信じていなかった。
休みの日に趣味である釣りをしに1人でH市を流れる大きな川へと行った時、朝から夕方までガッツリと釣りを楽しんで、18時を過ぎたくらいにそろそろ帰ろうと思い帰り支度をしていた。

ひゅぅ…
今日一日を通して、そんなに強い風も吹かなかった穏やかな日だったのに、生温かい風が急に吹いてきた。
そしてその瞬間なぜなのか分からないのだが、全身に鳥肌がゾゾゾっと立った。
私は初めての感覚に違和感を感じ、何だ?これ?という気持ちで帰り支度を進めていった。
不意に背後にあるベンチが視界に入った。なんとはなしに見てみると、ベンチに1人の髪の長い成人女性がうつむいた状態で座っているのが見えた。相変わらず全身には鳥肌が立っていたがこの時は、
近所の人が散歩がてらに来ているのかな?
程度に思いながら、ようやく帰り支度を終えて河川敷から車を停めてある駐車場へと歩き始めた。
ベンチに座る女性の横を通り過ぎようとした時、ゆっくりと顔を上げていくのが分かった。心のどこかで少し不気味に感じていたので、視線を逸らして河川敷の先にある遊歩道に向かった。

出来るだけ後ろを気にせず歩いていると、遊歩道の傍らに1人女性が立っているのが見えた。
脳裏に焼き付いたベンチに座っていた女性が、視線の先にいる。
この遊歩道は河川敷から一本道となっており、女性は間違いなく私を追い抜いた形跡は無かった。さらに寒気が止まらず、女性から出来るだけ距離を取って歩く事にした。
女性の前を通る時、女性はゆっくりと顔を上げようとしていたので、早足に通り過ぎて車を停めてある駐車場へと向かった。

ようやく車に辿り着き、釣具を車に積み込み駐車場を後にした。
車を走らせて10分程度しても鳥肌は更に酷くなるばかりで寒気もますます酷くなる。

ひゅぅ…

車の窓を閉め切っているのに、生暖かい風が吹いた。車内を確認しようとパっとバックミラーを見ると、後ろの席に先ほどの女性がいるのが見えた。俯いているのに腰を上げて、女性の顔はもう私のすぐ後ろまで来ている。
路肩に停めようと、後方を確認しているとバックミラーに映る女性が顔を上げている事に気付いた。

「しにたくない」

女性の声が耳元で聞こえてきたその瞬間私はなぜか気を失ってしまった。目が覚めると時間は夜の21時になっており、車は何故か路肩にハザードを付けたまま停まっていた。