【実話系怪談】忌奇怪会~kiki-kaikai~【本当にあった怖い話】

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百三十七夜目『看取りにきた』

これはYさんが千葉県N市で体験した話です。

平成19年6月に体験した、不思議な話。
母方の伯母の葬儀で公立の斎場と焼き場を利用した時のこと。親族と近縁だけの葬儀で20人くらいの会葬者で行った。
その日は6月にしては肌寒い天候で朝から小雨が降り続く状況で、昼の食事時も雨が降り雨雲の隙間から少し陽射しが差す天気雨だった。

不思議な体験をしたのは本葬の昼の食事時に窓の外側に人が通りすがるのを目にした時だ。
私以外にも気づいた者はいた様子。
服装が作業着のような上下カーキ色だったので私は
「庭園を管理する業者が行き来している」
と隣に座っていた親族に話した。
私たちが見たのは、棒状の道具を持っていて髪を短くそろえた短髪の20歳代とヒゲを生やした男性の4人で歩いていく姿。

すると酔った親族が窓を開けて
「よかったら一杯どうですか?」
などと言い出し、みんな慌てて席に戻し
「余計なことするな!」
とたしなめた。この親族は酔った勢いで調子にのるところがあるのでみんな「またか」と呆れていた。

しばらくすると天井からパタパタと物音が響くようになった。
「ねずみでもいるのか?」とみんなで天井を見ながら話していると、さきほど余計なことをした親族の一人が、
「変だな。さっき外を覗いたら兵隊がいっぱい整列してたんだよ」
と言い黙り込んだ。
斎場の庭にそんな広大な空間は無く、酔って幻覚を見たのかとみんなで話していたところ、
「伯母さんは、満州で看護婦をやってたんだ。たくさんの兵隊を看取ったと言ってたよ」
と親族の一人が教えてくれた。

もしかしたら伯母のことを看取りに、あの世から兵隊さんたちが来てくれていたのかもしれない。
その後、葬儀の手続きを済ませ、私たちは何事もなく家路についた。