【実話系怪談】忌奇怪会~kiki-kaikai~【本当にあった怖い話】

Twitter→https://twitter.com/kikikai76211126?s=09 怖い話を集めています。 ある程度見て頂ける人が増えたら、wordpressなどを使って原文も合わせて投稿したり、 コメントなど頂けた人気の高い話は朗読系YouTubeでも公開しようと考えています。 現在はまだまだ細々と、1日1話投稿出来れば良いかな…と。二次使用などはご相談下さい。

百三十五夜目『三角巾』

これはNさんが愛知県T市で体験した話です。

霊感など全く無く、不思議な物を見ることや、ましてや体験することなどほぼ皆無な半世紀弱の人生だが、知り合いの写っている心霊写真を見たことがある。
怪異と共に写った人物には不幸や死が訪ずれる場合も有る様で、無論その方も既に故人なのだが、少し趣が異なる。

40年程前の話。親戚のお宅で御不幸があり、それが半年の間にその家族の祖父そして父親が立て続けに亡くなると言ったものだった。仮に祖父をAさん父親をBさんとする。Bさんは母方の伯父に当たる人で、Aさんの死は高齢だったこともあり特に奇異と言うことは無かった様なのだが、その後に亡くなったBさんは40代働き盛りでの夭折、死因は肺ガン。残された伯母はさぞ大変だったと思うが、まだ小坊の自分にそこまでの知見はなく、大人しく葬儀に参列するだけのイベントのはずだった。
今とは違い、セレモニーホールを借りてそこでしめやかに執り行うものでなく、各家庭に祭壇を設けて式を行い、狭い所に慌ただしく参列者が来て弔うといった形式だった。
葬儀の飾り付けとして、出入口付近に花輪を置き、今ではすっかり見られなくなったクジラ幕を張って弔い客を招くのだ。大黒柱を失った家族が周囲の助けがあるとはいえ、 これを行うのは大変な事であり、何か手落ちが無かったか、また不幸にして次回があった場合の参考にする為に写真を撮っておくのは不自然ではなかったと思う。

葬儀の数日後に見せられた写真の中に、知っている人物が写っていた。飾り付けを撮っただけの写真に写りこんでしまったという方が正しいだろうか。窓の向こうにクジラ幕が張られたその脇に立っているのは、居るはずの無い死に装束のAさんが三角巾を額に付けて立っているのだ。何故半年経ったBさんの葬儀にAさんが現れたのかは分からない。