三十五夜目『いい加減にしろよ』
これは女子大生のYさんが鳥取県で体験した話です。
Yさんは学生マンションで現在も一人暮らしをしている。
その日は早々に寝支度を済ませ、布団に横になりながら携帯をいじっていたのだが、なぜかその日はなぜか嫌な雰囲気がしていた。
翌日は朝が早かったため、早く寝なくてはならないと思い、仕方なく携帯をいじる手を止め、電気を薄暗くした状態で眠りに落ちた。
それは夜中の2時ごろ、目が覚めたのと同時に金縛りにあった。Yさんは普段から金縛りにはあっていたため「またか」という感じで金縛りが解けるまで待っていようと冷静であった。
しかし今回は違った。誰かがYさんの上に乗ってきたのである。目を開くことはできなかったので確認することはできなかったが、多分男の子。
ものすごい強さで私の体全身をグーっと3回、地面に押し付けられた。それだけでなく、全身を押さえつけられながら生後2か月くらいの赤ちゃんが
「ギャーーー!!!ギャーーーー!!!」
と泣いている声とそれをひたすらにあやしているお母さんらしき女の人の声が聞こえてきた。
さすがにこれはやばいと思い、ひたすら心の中で般若心経を唱え、心の中で亡くなった祖父に助けを求めた。
しばらくすると徐々に金縛りから解放されたのだが、その直後すぐに酷い耳鳴りがしと男の人の声で
「いい加減にしろよ」
と耳元で囁かれたそうだ。
翌日、この話を友人Sにしたのだが、驚いたことに彼女も昨晩、同じ時間帯に金縛りにあい、男の人が扉から入ってきて上から枕元からのぞいてきたという。
彼女は金縛りにあうこと自体初めてでとても怖い思いをしたそうだ。
これが偶然なのかどうなのかはわからないが、ひとつ心当たりがあった。Yさんたちの共通の男友達が、金縛りが起きた前日に一家心中した家族の家に深夜出向いたというのを私は耳にしていた。彼もまたこの学生マンションに住んでいる。
おそらく彼が良くない物を連れてきてしまったのだと思う。本人には全く何の被害も出ていないらしいが、本当にいい加減にしてほしい。