これはHさんが7年前に大阪府で体験した話です
Hさんが看護師として病院に勤務していた時、病院勤務経験者ならよくある事だがその病院でもおかしな体験をしたという人が何人もいて、先輩からもそういった話を聞いたそうだ。
ある日、Hさんと後輩のNさんが夜勤で勤務していた。
その夜は複数の患者さんがナースコールのボタンを同時に押されて、休む暇もなく働いていたそうだ。中には状態の悪い患者さんもいたので、Hさんたちは息を切らせながらなんとか対応していた。
やっと一段落ついて、ナースセンターに戻ると、また一つナースコールが鳴ったそうだ。
「先輩、私行ってきます」
「え、ちょっと待って。その部屋ってこの前、空き部屋に…」
ナースコールの鳴った部屋はつい先日空き部屋になったはず。
Nさんはまだ若くて怖がりだったので、念のためにHさんがその病室まで確認に行く事にした。
誰も居ない病室からは僅かに光が漏れていて、恐る恐る中を覗くと鳴らされたコールボタンは、誰かがついさっきまで触れていたかのように揺れていたが、コードは根元から外れていたそうだ。
部屋から漏れていた光の発生源は、電源の切れているはずのテレビだった。
そこに映っていたのはそ1週間前に状態が急変して、亡くなった患者さんの泣き顔が大きく映っていたそうだ。
「ギャーッ!」
Hさんの大きな叫び声を上げると点いていたテレビ画面は消えた。
あれは今思い出しても背筋が凍るような恐ろしい体験でしたとHさんは話した。