【実話系怪談】忌奇怪会~kiki-kaikai~【本当にあった怖い話】

Twitter→https://twitter.com/kikikai76211126?s=09 怖い話を集めています。 ある程度見て頂ける人が増えたら、wordpressなどを使って原文も合わせて投稿したり、 コメントなど頂けた人気の高い話は朗読系YouTubeでも公開しようと考えています。 現在はまだまだ細々と、1日1話投稿出来れば良いかな…と。二次使用などはご相談下さい。

百三十六夜目『落ちた』

これはGさんが東京都S区で体験した話です。

この日は、大学の授業で使う画材を買いに朝から新宿駅周辺をウロウロしていた。
どんよりとした曇り空だったのだが幸いにも雨は降っておらず、早く買い物を終わらせて家に帰ろうといくつかのお店を駆け回っていた。

目当ての品もだいたいが買い終え、お昼でも食べようかという時。歩道の柵に寄りかかっていた若い男性が道路のほうに背中から倒れたのが見えた。バイクがすぐ近くに迫っていたので、思わず「うっ!」と目を背けてしまった。
しかし、ブレーキの音も何も聞こえない。何も変わらない街の喧騒だけが聞こえ、男性のいた所へすぐ目をやると、道路に倒れたはずの男性がどこにもいないのだ。
その日は疲れから来る自分の勘違いかと思って、ちょっとモヤモヤとした気持ちを抱えて足早に家へ帰った。

後日、今度は別の用事で同じ場所に通りかかった。あの時と同じ服を着た若い男性が柵に寄りかかっている姿がまた見えた。
自分はあまり幽霊などは信じないのだが、何となくこれは駄目だと感じて、さっさとその場を立ち去ろうとした。
「ママ、道路に落っこちた」
近くを歩いていた小さい女の子の声が聞こえた。小物でも落としたのかと思ってそちらを見ると、あの男性がいた方を指さしていた。

脇目もふらず家に帰った。正直、その女の子にも見えていたことにも驚いたのだが、その後の女の子へ話しかける母親の
「あまりキョロキョロしないの。ここにはいろんなものがあるんだから」
という言葉が一番薄気味悪かった。