百十九夜目『キャンプ場』

これはMさんが岐阜県N市で体験した話です。

私の子供がまだ保育園に通っていた時の出来事。当時、キャンプが大好きな家族とお付き合いをよくしていて、そこの家の子供とうちの子は幼馴染で、大型連休になるとバーベキューなどを一緒にしていた。
その時も夏休みでキャンプに一泊しに行こうと話が出た。私は仕事があったので終わり次第に合流することにして、妻と子供は一足先にその家族とキャンプに行った。

夕方Ｎ市の河原にて合流してご飯を食べ、子供たちの楽しくはしゃいでいる姿を見ていた時、

｢実は…｣

と、昼間に起きた出来事を親たちから聞いた。
本来のキャンプ予定地はここではなく違うキャンプ場だったらしく、最初は予定地に向かったのだが、キャンプ場の様子を見に車を止めたあたりからうちの子が恐ろしく怯えていたそうだ。
話を聞くと、どうも武者のような格好をした男性がこちらの車を見ていると泣きながら言っていたそうだ。しかし、他の誰にもその姿が見えなかったらしい。
そうこうしていると、停まっていたはずの車が急に動き出した。運転席は誰もいない、パーキングに入っている、エンジンは止まっている、なのに坂道を下り出すという現象が起きましたそうだ。幸い助手席にいた妻がサイドブレーキを引いて事なきを得たようなのだが。

みんなで急いで場所を変え、ここに着いたら子供も落ち着いたということだった。
思い返せば、その辺りはだいぶ昔戦があったらしく幽霊の目撃話もあるようなところらしい。私も霊感が強いので、当時のうちの子も強かったのか、たまたま見えてしまったのかもしれない。