百二夜目『点検中のエレベーター』
これはGさんが福岡県H市で体験した話です。
高校の寮での実体験だ。
私が生活していた寮は6階建で、1階に食堂、自販機、2階にランドリー、自習室、3階から6階までが生徒が寝る部屋という構造で、その時期は3階・4階は入寮している人数の関係で封鎖されていた。
当時の私は怪談等が大好きでよくテレビで見ていた。
ある企画番組の1コーナーで、幽霊が出るサイン、危ないサインを紹介しており、その中の1つに、『深夜のエレベーター点検』と言う話があった。
内容としては、エレベーターの点検は作業員などが行う為深夜にすることは無いとの事。
もし深夜に点検中の文字や、停止している時に
階段を使ってしまうと怪奇現象に遭ったり、危ないことが起きるかもしれないとのことだった。
その翌日の事、私は深夜2時頃に目が覚め喉が渇いたので、飲み物を買いに行こうと1階まで降り、購入したあと5階にある自室まで戻るため、エレベーターを利用しようとした際にふと階数表示のモニターをを見ると、カタカナで1文字づつ
「テ.ン.ケ.ン.チ.ュ.ウ」の文字が表示され、ボタンを何度しても使えなくなっている事に気付いた。
降りてくる時は点検などしていなかったのにと不審に思ったのと、前日に番組をみたせいもあり、階段を使う事に躊躇していると直ぐ元に戻った。
その翌朝、寮母さんにその事を説明してもそんな事は起きたことが無いし、そんな機能がある事も聞いてないと言い、業者、メーカーに確認して貰えることになったのだが、その返答も同じくそんな機能はありませんとの事だった。
あの時、何かが私に階段を使わせようとしていて、もし階段を使っていたらどうなっていたかと思うと少しゾッする。
後日談だが、誰も使ってない4階に勝手に止まる減少が稀に起きているそうで、私も体験している。それも決まって深夜にだけ起きているそうだ。