【実話系怪談】忌奇怪会~kiki-kaikai~【本当にあった怖い話】

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百一話目『トイレの』

これはHさんが北海道E市で体験した話です。

私が高校生の頃の事。
私の母校は増築に増築を重ねて、とても複雑な入り組んだ仕様だったので元々あった窓を塞いでしまっていたり、電気の接触が悪く薄暗かったり、あまりにも新しく増築された部分が綺麗な為に、最初からある古い校舎部分は雰囲気が悪く感じた。

歴史のあるとても古い校舎だったが、元々女子校という事もあり旧棟の1Fの女子トイレは20個室ほどもあった。
通路を挟んで両側に個室がずらっと。

奥まで長く、電気をつけても薄暗く雰囲気のあまり良くないトイレだった。
奥には窓があったが増築の為にそこも日陰で外からの明かりも入ってこない場所。

そんなトイレでは案の定、嫌な噂が絶えなかった。
朝昼晩関係なく、いつもよりも空気が重く トイレが暗く感じると、必ず女子校時代の古い制服を着た“女の子”がいる。
その時トイレはあからさまに夜になったかのように暗いのだ。

ドアが開いている個室の中に女の子が立っていたり、鍵をかけたのにいつの間にか鍵が開いていたり、先に女の子が歩いて行って突き当たりで消えてしまったり。

でもその“女の子”の気配が消えると 薄暗いながらも昼間や夕方の明るさを取り戻す。
そんな事が頻発していたせいか、その広いトイレで他の生徒と会う事は滅多に無く、そしてトイレで会う“女の子”の話は誰も噂せず。
暗黙の了解のように触れてはいけない話、見聞きしたことはなかった事かのように振る舞うのだ。

女子校時代を知る先生に伺ってももちろん何も教えてくれはしなかった。
私自身ビビリなので出会いたくない気持ちはいっぱいだったが、その子は特に悪い事をするわけではなかったので、なんらかの理由で高校生を卒業出来ずに今もずっと居たのかな?と思う。

私は高校を卒業して10年は経つが、今あの“女の子”がどうなったのかはわからない。
そして、高校の事や教室の場所は思い出せるのに、なぜかその20個室もあった大きなトイレの位置だけはどうしても思い出せないでいる。