これはたWさんが大阪府O市で体験した話です。
学生の頃、大阪のミナミにある某居酒屋でバイトをしていた。
テーブルの半個室11席と、お座敷の完全個室4席があるお店。
閉店後、店のテーブル席の床を掃き掃除していると、自分の後ろに人の気配があってピタッと立ち止まった影が見えた。
その日は店長と2人での閉店作業だったので、「何してんの?」なんて店長には言えないので、気にはなったけど黙々と掃除をしていると、店長はいつの間にかいなくなっていた。
次にお座敷を掃除していると、
ピンポーン
テーブル33卓の呼出ベルが鳴った。店長ちょけてる?と不思議に思いながらキッチンに行くと、ホールでは無く店長はキッチンで洗い物をしていた。ベルからキッチンまでそんなに早く移動出来るのかと思い、
「呼出押しました?なんかさっき鳴ってたみたいなんですけど」
って聞くと
「ずっとキッチンに居たよ、それに呼出なんて聞こえてないけど」
と言われて一気にゾワってなった。
後日閉店後にその話を他の従業員と話して作業をしていると、
ピンポーン
また例の33卓の呼出が鳴った。
恐る恐る2人で見に行ったが、特に異常もなく呼出ベルも定位置に置かれていた。
ゴミ捨てから帰ってきた店長に出来事を話すと
「働いててそんな事は一度もないし、聞いたこともない」
と。でも実際に私ともう一人はそれを経験してしまったので、おかしいと口々に言いながらも仕事を終えて、お座敷で3人揃って賄いを食べていた。
ピンポーン
また33卓の呼出が鳴り、3人とも一気に無言になってしまった。
「気持ち悪いから、電池抜いて持ってきた。故障だったら別のやつと…」
戻ってきた店長は呼出ベルを持ってきたのだが、話しの途中いきなり地べたに座り込み何故か立ち上がろうとせず、放心状態になり言葉が交わせなくなってしまった。
「これは絶対何かある!やばいから呼出ベル戻そう」
これを見た私たち2人は焦って元の席に戻しに行った。
それから15分くらい経った後、店長が元の状態に戻ってくれたのでベルは戻したと伝え、3人で店から逃げるようにして帰った。
その後、一緒に体験してしまった人と私はすぐにそこを辞めた。そのベルがどうなったのかは分からない。