九十一夜目『学校の怪』
これはHさんが福島県K市で体験した話です。
同じ学校に通う友達と私の話。
私が通っていた高校は、三つの校舎がありC校舎は霊が出るという噂があった。私の友達は合奏部で放課後はC校舎に近い音楽室を使っていた。
友達の話だと、一年生の頃からおかしなことがあったらしく、誰も居ないところから物音がしたり、霊感がある合奏部の先輩Dさんが音楽室にいるとよく体調不良を起こすなどの不思議なことがあったそうだ。
ある日、Dさんが
「この椅子に男の人が座ってる」
と部員全員に教えて、この椅子に座らないようにと忠告したにもかかわらず、同級生のA君が悪ふざけでその椅子に座ったようだ。最初はなんともなかったA君だがしばらくすると体調が悪くなり、それを見たB君は好奇心でその椅子に座った。A君同様にB君も段々と体調が悪くなり帰ったそうだ。そのうちDさんも体調が悪くなってしまい
「霊が少し怒ってる」
とDさんは言っていたそうだ。
私はその話を聞いた時、とてもじゃないけど信じられなかったのだが、友達が言うには3人とも顔色が真っ青になるくらい具合が悪そうに見えたようだ。
この話以外にも幽霊を見た人がいて、実際に私もこの後奇妙な体験をした。
それは学校内であった合宿中の事。私は文化部で夜の10時まで私含め6人で作業をしていた。遅い時間まで活動していて、夜の学校はやっぱり不気味な雰囲気だった。
後片付けを6人でしていた時、顧問の先生が
「お前らどこの部のやつだ」
と、いきなり教室の扉を開けた。
もちろんこんな夜遅くに残っている生徒なんて私たち以外にいるはずもなく、先生は首を傾げていた。
教室内になんとなく嫌な雰囲気が漂い始めたが、作業を終わらせなければ帰れないので皆急いで動いた。
ふと、教室の扉が私の視界の端に入った時、扉についている小窓から教室をぐっと覗き込む顔が3つ見えた。
私は悲鳴を上げそうになるのを押し殺して気付かないふりをしていると、先生が小窓についているカーテンをサッと閉めてくれた。
作業を終えてみんなで廊下に出ると、特に異変はなかった。何故あの時先生がカーテンを閉めたのかは、最後まで怖くて聞けなかった。