これはSさんが熊本県で体験した話です。
Sさんは釣りが趣味で、よく一人で釣りに出かけるそうだ。夏は色んな魚種が釣れるのだが、日中帯は熱くて釣りにならないので、夜釣に出かけることが多い。
その日は午後まで仕事をしていたので家から近い場所に釣りに出かける事にした。
特に有名釣りスポットではないので、Sさん一人で貸し切りの状態。堤防の先端に陣取りヘッドライトを付けシカケを準備し、海にひょいと釣り糸を垂らした。
満月が海面に映り綺麗な星空を眺めながら一日の疲れを癒やされながらゆったりと時間が流れて行く。
特に何も釣れるわけでも無いがのんびりしたこの時間が人間には必要だ、などと独り言を言いながらボーとしていたら背後から視線を感じる事に気付いた。
釣り人が来たのだろうと思い振りかえったのだが誰も居ない真っ暗な堤防しかみえない。
動物でも来たのだろうと思い釣りを再開しようとした途端、
「ヴォォォゥウウ!!」
とてつもなく大きな唸り声が聞こえたと同時に、犬の遠吠えみたいな声がいろんな場所から聞こえてきた。
背筋が凍るように寒くなり急いで帰ったのを今でも鮮明に覚えている。
後日その体験を知人に話たところ、そこで水死体が上がったと聞かされた。あれは何かのメッセージだったのだろうか。その日は8月16日お盆の日に体験した話だ。