【実話系怪談】忌奇怪会~kiki-kaikai~【本当にあった怖い話】

Twitter→https://twitter.com/kikikai76211126?s=09 怖い話を集めています。 ある程度見て頂ける人が増えたら、wordpressなどを使って原文も合わせて投稿したり、 コメントなど頂けた人気の高い話は朗読系YouTubeでも公開しようと考えています。 現在はまだまだ細々と、1日1話投稿出来れば良いかな…と。二次使用などはご相談下さい。

二十七夜目『老婆』

これはNさんの叔父が40年前に山梨県M郡で体験した話です。

20代だった叔父には釣りの趣味があり、よく友人と早朝から釣りをしに行っていたそうだ。
その日は「山梨県の河口湖へ行こう」と言う友人の提案で、深夜1時に家を出発した。
叔父の運転で車を走らせ、深夜2時を過ぎようとしていた時、河口湖への案内板を横目にトンネルを抜けると、少し先の交差点の向かいの坂道から一人の老婆が歩いて来るのが見えた。
その老婆は、白髪で背中に大きな籠を背負っており、腰を90度近く折り曲げたまま下を向きゆっくりと歩いていた。

「おいおい、こんな時間になんで老婆が歩いてるんだ?」

「籠背負ってるし、この辺畑が多いから農作業かとも思ったけど、、早すぎるよな?」

「幽霊だったりして…?」

「…まさかそんな訳ないだろ」

そんな会話をしながら、老婆の目の前を右折し、交差点を後にした。
しばらく走っていると、さっきまで元気に喋っていた友人が無口になっているのに気付いた。
叔父は「さっき見た老婆が気になっているのか?」と思い、気を紛らわせるために友人に煙草を差し出しながら声を掛けた。

「おい、さっきからどうした?老婆が気になるのはわかるが、あんまり気にするな。ほら、煙草でもどうだ?」

それでも友人は無言のまま。

「おい、本当にどうしたんだよ?」

「…あ、、あぁ、、…」

「は?なんだよ、聞こえないって…」

と言いながら、友人の方へ顔を向けた瞬間、叔父の顔は凍り付いた。
先程、目の前を通り過ぎたはずの老婆が車の助手席の窓からこちらを見て笑っていたのだ。
車と同じスピードで並走していること自体、異常な光景である。しかしそれ以上に叔父を驚かせたのは、「その老婆は背中に大きな籠を背負い、腰を90度近く曲げて歩いていた」…ということは、車の助手席の窓から顔を覗かせることは不可能だった。
その後、叔父と友人は半狂乱になりながら車を走らせ、その老婆を振り切ったそう。一体、あの老婆は何者だったのか今でもわからないままだそうだ。