十五夜目『ジャングルジムの子』
これはWさんが長野県で体験した話です。
Wさんが小学生の頃住んでいた地区には小さな公園がいくつもあって、その中でも自分のお気に入りの公園というものがあり、
友達や妹たちとよくお気に入りの公園に遊びに行っていたそうだ。
近所の市営団地の横にある公園も私のお気に入りの公園の一つで、その公園には夕方になると頭にガーゼを当てた男の子が現れてジャングルジムで遊んでいることがあむた。私が友達や妹と遊んでいるとその男の子に声をかけられ、そのうち一緒に遊ぶようになった。
その男の子は、昼間には姿が見えないのだが、夕方になるといつもジャングルジムのところにいるので、Wさんたちの間でジャングルジムの子というあだ名で呼ばれるようになった。
その男の子と何回か遊んでだいぶ仲良くなった頃、みんなでジャングルジムの上に登りおしゃべりをしていた時の事。男の子が突然
「僕、一回死んだんだ」
と言い出した。怖い話みたいな感じではなく普通に話していて話の流れでいきなりそのような話になったそうだ。
Wさんたちも特に驚きもせず、
「えー嘘だぁ」
なんて言いながら男の子の話を聞いていた。すると男の子は
「本当。ほんと、このジャングルジムから落ちたんだよ」
といって頭のガーゼを外して中を見せてくれた。そのガーゼを外すと男の子の頭が歪にへこんでいたそうだ。Wさんたちは
「うわぁ、痛そう」
と言って男の子の頭をまじまじと見ていたそうだ。
男の子は死ぬ時は全然痛くなかったけどねなんて言っていた。
それから何日かその男の子と遊んでいたのだが、ある日突然いなくなってしまい、それ以来全く姿を見なくなった。
今思い返すとそのジャングルジムで人が死んでいるなんて聞いたことはなく、友達も妹も全員がその男の子と遊んでいるので、幽霊なんてことはないと思っているのですが大人になった今、ふとあの子ことを思い出すと、もしかして本物の幽霊だったのかもと思う事があります、とWさんは話した。