十四夜目『入った音』
これはUさんが北海道S市で体験した話です
数年前、Uさんは中学時代の友人とお盆の時期に心霊スポットに行った時の事。
友人はスマートフォンで中の様子の動画を撮影していたそうだ。
「やめとけよ」
Uさんも口では友人を止めていたのですが、久々に会った2人は怖さや不謹慎さより楽しさが勝り、その友人は5分ほど動画を撮影していた。
数日後、その友人から
「この前撮影した動画に変な音が入ってるかもしれない」
と連絡があったそうだ。
Uさんは撮影したときに一緒にいたので、どんな音が入っているか気になり、仕事を終えたあとにすぐ友人に会いに行った。
「怖いんだけど、呪われたらどうしよう」
などと冗談半分で話す友人は、あまり深刻に考えてはいないようだった。
いざ問題の動画を再生したところ、人の耳では聞き取れないぐらいの低い声で何かがしゃべっている声が聞こえた。
「…なんか言ってるな、これ」
友人からは「変な音が入っている」と聞いていたので、Uさんは少しびっくりしてしまい、動画を途中で止めた。もう一度音量を最大まで上げて聞いてみたが、やはり聞き取れなかった。
「結構はっきり声が入ってるんだけど、聞き取れないな」
友人は終始無言で顔を強ばらせていた。最初の能天気ぶりはどうしたのだろう。
「おい、そんなになるほど怖いのかよ」
Uさんの問いかけに、やっと口を開いた友人は
「昨日再生した時と言ってること違うんだけど…」
ぽつりと話した。怖くなったUさんたちはスマートフォンの電源を切り、いったん友人の家まで行き、今後そのスマートフォンをどうするか話しあい、保存されている動画を消して何とかなりそうだったらこのまま使うと友人が決めたそうだ。
その後Uさんは、その動画をどうしたのかはなんとなく怖くて聞けていないという。