百六十五夜目『階段近くの和室』
これはLさんが愛媛県I市で体験した話です。
これは私が学生の頃の事。
当時、全寮制の学校に通っていたのですがマイコプラズマ肺炎になり実家に帰っていた。隔離の為に普段誰も使っていない和室で過ごすことになった。その和室は階段を登ったすぐそばにあって、階段を登ったすぐそばの部屋は幽霊が出やすいという話を聞いたことがあった私は、少し霊感があるようなのでその部屋に入るといつも胸の辺りがザワザワするような感じがした。
その時は高熱もありそんなこと気にしてる余裕もなかった。
だんだんと症状も治まりそろそろ隔離も解くかどうするか両親と相談した夜。何日かその部屋で寝泊まりして何もなかった私は完全に油断していた。布団を移動させるのも面倒だしそのままその和室で寝ると言ってしまったのだ。
その日の夜はなぜかなかなか寝付けなかった。お昼寝をしていたので寝れないのだろうとスマホをいじっていたその時、いきなり押し入れから
ドドドドドドッ
と何かが崩れ落ちたような大きな音がした。
ドンッドンッ
続いて中から何かが叩いているような音がしだした。まるでここから出せと言わんばかりに。
急いで私はその部屋から出て、その日はリビングで眠ることにした。
翌朝、そっと押入れを覗くと特に何か荷物が崩れたような様子はなかった。
母親に昨晩の出来事を話すと、
「あぁ、あの押入れにはあなたの雛人形がしまってあるのよ。もう何年も出してないから怒っているのかもね」
と言われた。私は母親にもうお雛様は人形供養に出したほうがいいと伝えて、私は寮に帰った為お雛様がどうなったかは知らない。
今は社会人になり、たまに帰省する際にその部屋に寝泊まりしているが、あれ以来何も起きていない。