百六十六夜目『階段の黒い影』
これはIさんが奈良県N市で体験した話です。
約8年前に体験した出来事。
僕が小学生6年生で従兄弟の家に泊まりに行った時に起こった事だ。
そこには従兄弟とその両親そしておじいちゃんが住んでいて、おじいちゃんの部屋にはおばあちゃんの仏壇がある。
従兄弟の家に行くと毎回仏壇に挨拶をしていて、心霊系の恐怖は皆無だった。
一つ怖かったことがあるとするならば、夜に起きてトイレに行くことぐらい。
なぜならそのトイレの前には暗くてよく見えない階段があるからで、従兄弟の家で2階は基本的に物置となっていて僕自身誰かが2階を使っている姿を見たことがなかったのだ。
そして泊まりに行った日の夜、目が覚めてトイレに向かった時怖い出来事が起こった。
時間は夜中の2時ぐらいで絶対に全員寝ていたので起きているのは僕だけだった。
トイレを終えて部屋に戻ろうとした時、ギリギリ目視できるくらいの階段の途中で黒い何かが目に写った。
大人よりは小さくて子供よりは大きいぐらいのサイズで初めは恐怖心がなく、「あれなに?」といった感じで見ていた。
それは階段の電気をつけると何もいなくて見間違いかと思ったのだ、電気を消すとやはりそこにいる。
少しづつ変だと思い恐怖心が湧いてきた時に、その黒い何かは目視できない階段の上まで行ってしまった。
朝起きてから従兄弟たちに聞いてみても誰もわからないと言うばかりで、結局今でもあれが何なのかわかっていない。
もし、僕があの時階段の上まで着いて行くとどうなっていたのだろうか。今でも従兄弟の家に行くと思い出してしまう。