【実話系怪談】忌奇怪会~kiki-kaikai~【本当にあった怖い話】

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百二十九話目『夜の漁船』

これはNさんが鳥取県T市で体験した話です。

今から15年ほど前のこと。
当時、中学生だった私は海釣りが好きで、近所の海岸に毎週土日は必ず釣りに行っていた。
夏休みに入り、毎日のように釣りを楽しんでいたある日、同級生の釣り好きのK君から夜釣りに誘われた。
「父親と夜釣りに行くので来ないか?」
ということで基本は一人で釣りをするのが好きなのだが、
夜釣りはしたことがなく興味はあったので、友達とその父親と夜釣りに行くと親を説得しやすいのもあり行くことにした。

夜中の0時頃にK君とK君の父親が車で私の家に迎えに来てくれ、三人で海へ向かった。
海岸に到着するとすでに5~6人くらいのおじさんが釣りをしていた。
早速私とK君親子は釣りの準備をし、三人があまり離れない距離で各々が釣りを始めた。
2時間ほど経ち釣果は上々でK君親子も私と同じくらい釣れてるようだった
周りに街灯などはなく、月明かりで4~5mくらい先がなんとか見える暗闇の中、真っ暗な海のかなり沖の方で何かがボンヤリ光ってるのが見えた。
かなり遠かったので「漁船かな?」と思い最初は気にもとめなかった。

それから10分程経ち、何気なくさっきの光の方を見ると少しこちらに近づいてる様に見えた。
それでもまだかなり遠かったので特に気にせず釣りを続け、また10分程経ち何気なく光の方を見ると先ほどより明らかにこちらに近づいてるのがわかった。
なんとなく漁船じゃないと思い近くにいたK君に
「あの光なんだろ?」
と聞いたのだが、ちらっと光の方を見たあと
「ん~?漁船かなんかだろ」
と興味なさそうな反応だった。周りにいるK君の父親や他のおじさん達も多分光には気付いてると思うが、誰も気にしてないようだ。

しばらくしてK君の父親がそろそろ帰ろうと言いに来たので、三人で帰り支度をしてる最中になんとなくあの光のほうを見ると、かなり近づいてるのが見えた。

おそらく40~50m程の距離だったと思う。
光の形が何となく見えたので目を凝らして良く見ると、それは肘から下だけの真っ白な人間の腕がぼんやり白く光って宙に浮いてる様に見えた。
血の気が引いた私は誰も気付いてないのかと周りを見渡すと5~6人いた釣り人の一人が気づいたみたいで、かなり動揺してるようだった。
私はK君親子に
「腕が浮いてる!」
と言うと2人も気付いたようで、3人ともパニックで騒いでると周りの釣り人達も全員気付いたようで大騒ぎになり、何故か私とK君親子の元に全員集まって来た。

その腕は少しずつこちらに近づいており、
もう完全に腕だと認識できる距離に迫っていた。
あまりの異様な光景に半泣きで騒ぐおじさんもいるくらいで、20~30mくらいの距離まで腕が近づいた辺りでK君の父親が
「急いで車に乗れ!」
と叫び、釣り道具を持とうと腕から一瞬目を離した。
釣り道具を持ち、目線を上げて腕の方を見るとなんと腕は私達の真上の高さ4~5mくらいの位置におり、全員が阿鼻叫喚の大パニックになった。
さらにまばたきをした一瞬の間に数十本の腕がぐるりと私達を囲むように並んでいた。

叫びながら逃げて行くおじさん達、私とK君親子も何かを叫びながら全速力で車に乗り急いで海岸から出た。
K君の父親は険しい顔で運転に集中してるようで、K君はパニック状態、私も腕が追ってきてるんじゃないかと気が気じゃなくずっと後ろを気にしていた。
K君の父親はしばらく車を走らせコンビニに車を停め、ジュースを買って貰い3人で車内でしばらく無言でジュースを飲んでいた。

3人とも少し落ち着いたみたいで、あれは何だったんだ?、他の釣り人は大丈夫かな?とか話したと思いますがよく覚えていない。
とりあえず朝までK君の家で過ごし、昼前に家に帰った。それ以来、海に行くのが怖くなり釣りに行くのをやめた。