【実話系怪談】忌奇怪会~kiki-kaikai~【本当にあった怖い話】

Twitter→https://twitter.com/kikikai76211126?s=09 怖い話を集めています。 ある程度見て頂ける人が増えたら、wordpressなどを使って原文も合わせて投稿したり、 コメントなど頂けた人気の高い話は朗読系YouTubeでも公開しようと考えています。 現在はまだまだ細々と、1日1話投稿出来れば良いかな…と。二次使用などはご相談下さい。

百五夜目『白いモヤ』

これはLさんが宮城県S郡で体験した話です。

今から30年前、私がまだ10歳の小学生だった頃の事。
夏休みに両親と妹と家族4人で母方のおばあちゃん家に帰省することになった。
私と母と妹は半月ほど、父は仕事があるのでお盆の間だけ泊まってた。

夏休みには従兄弟のお兄ちゃんやお姉ちゃんたちもおばあちゃん家に来ていて、とても賑やかで楽しかったのを覚えている。
おばあちゃん家の近くのお寺では毎年お盆になると夏祭りが開催され、盆踊りを踊ったり、出店で美味しいものを食べたりするのが恒例で、夏祭り三日目には裏の山から花火も上がるので、私と妹はとても楽しみにしていた。

おばあちゃんはお盆になると、仏さまが帰ってくるので迎え火や送り火をするのだと話してくれ、私はおばあちゃんのお手伝いをするため、暗い中家の外に出た。
おばあちゃん家の目の前は大きな川があって、一人で行くと危ないから絶対行ってはいけないと言われていたのだが、
私はおばあちゃんと送り火の準備をしている時に何となく川の方が気になり、覗いてみた。
すると、白いモヤのようなものが見えたので、なんだろうと近づこうとすると、おばあちゃんに酷く叱られ止められた。
何となくその白いモヤが気になったのだが、また叱られてしまうと思って、足早に家へ戻った。

次の日、従兄弟のお兄ちゃんと妹と3人でお寺の盆踊りに行くことになった。
街灯も少ない道を3人で歩いていると、突然妹が泣き出し

「怖い怖い、おばあちゃんちに帰る」

と言い出した。
私は盆踊りを楽しみにしていたので、従兄弟のお兄ちゃんと、おばあちゃん家に妹を預けたら二人で行こうということにした。

妹はお兄ちゃんに抱っこされ、おばあちゃんちに帰り、私は玄関でお兄ちゃんを待っているとまた川の方が気になり、見てみるとまた白いモヤが見えた。
何だろうと目を凝らしても遠くてわからなかった。しばらくするとお兄ちゃんが戻ってきて、お寺に向かい歩きながら、お兄ちゃんに白いモヤのことを話してみた。
お兄ちゃんはどこ?どこ?と興味津々に川の方を見ていたので、

「あそこだよ」

と言って指をさしても、お兄ちゃんには見えないようだった。
それならもっと近づこうと、二人で川の方へと歩いていくと、段々と白いモヤから何かしらの形が見えてきたのだが、やはりお兄ちゃんには見えないようだったので、諦めて盆踊りに行こうと道を引き返した時、

「ねぇ…ねぇ…」

と、背後から女の人の声が聞こえてきた。
その声はお兄ちゃんにもはっきり聞こえたようで、私達はぎゅっと手を握り息を飲んだ。
私は後ろを振り返ってはいけないような気がしたのだが、お兄ちゃんは足を止め振り返ろうとしていた。

立ち止まってどれくらいの時間が過ぎたか分からない、その間も女の人の声がどんどん近づいてきた。

「ねぇ、ねぇ、ねぇ」

とか細い声は私達のすぐ後ろにいるような気がする。
私たちは意を決して振り返ってみると、真っ白な着物を着た女性が、今にも襲ってきそうな目で私達を見ていた。

私とお兄ちゃんは恐怖のあまり、どう声を出したかもわからず、おばあちゃん家に一目散に走って逃げた、繋いでる手が爪の痕で赤くなるくらい強く握って走っていたようだった。
やっとの思いでおばあちゃんちに着き、説明したいけど声が出ず私は泣く事しか出来なかった。おばあちゃんはそんな私を見て、川の方に行ったんだろ、と言われた。
どうして分かったんだろうと思っていると、おばあちゃんが昔あった事を話してくれた。

大きな台風があって川が氾濫したそうで、その時に多くの人が亡くなったらしく、結婚を控えた花嫁さんも亡くなった。花嫁さんは川に流されてしまったのだが、お婿さんは助かった。
そのお婿さんと幸せな家庭を築いて、子どもも欲しいと楽しみにしていたみたいで、今でもそのお婿さんを探しているらしい。
それから男性や子供の水難事故が多発したため、決して川に近づいてはいけないと言われるようになったそうだ。

私はその女性を可哀想に思い、次の日おばあちゃんとお兄ちゃんと橋に行きお花を手向けに行った。