これはYさんが愛媛県U市で体験した話です。
私が中学2年生の頃。
「自然の家」と呼ばれる行事で、クラスみんなと担任の先生と、山奥のロッジに宿泊した。
時期が夏という事もあり、やはり年頃の男女が考える事で、肝試しをやろうという話に。
安全に行えるよう、担任の先生も同行して肝試しのルートを決めようと、私と同級生のE君、仲の良い女子2人と山道を歩く事になった。
山道と言っても整備された道路で、私はE君が持ってたチェキの自慢を聞きながら、楽しく道中を過ごしていた。
歩いてしばらくしてから、女子の1人が
「寒い…」
と言い出した。
その日は真夏で日も登っており、まして山の中の道路なので、暑くてたまらないくらいなのに。
その子はしばらくすると顔面蒼白になり、とても歩ける状態ではなくなってしまった。
さすがに担任の先生が見兼ねて、
「もう20分も歩いたから疲れたし、戻ろう」
と言い始めた、ちょうどその時。
「あれ、なんか道が塞がれてるように見える…」
E君の指さすほうには、車が2車線分ある道路に黄色のバリケードテープがガードレールと道路の側壁を乱雑に何往復も結んでおり、あまりにも異様な光景だった。
体調を悪くした子はその場で戻してしまい、私自身霊感なんて無いに等しいのに不気味さを感じた。
「何でこんな所にこんなテープが…」
「あれ見ろよ!」
私が呟くとE君がその先を見て叫んだ。
バリケードの先にはボロボロになった家が1軒。
人の気配を感じない程老朽しており、良く見るとその家の近くにもバリケードテープが張り巡らされていた。
気味が悪くてとても近づく事は出来なかったが、E君がチェキでその家の写真を撮って私達は戻る事にした。
写真がチェキから出てきたので見てみると、写真は家が分からない程に黄、白、青、色々な色の光で覆われ、良く見ると家の窓から人がこちらを覗いているように見える写真だった。
その日の夜は担任を含め、下見に行ったメンバー全員が体調不良を起こしてしまい、あまりにも恐怖を感じたので写真は皆で相談し、燃やすことにした。
そのおかげか、翌日には体調が良くなり、無事に行事を終える事ができた。
このような体験はこれが最初で最後。今思えば、女の子が寒いと言ったところで引き返すべきだったと思う。