【実話系怪談】忌奇怪会~kiki-kaikai~【本当にあった怖い話】

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八十三夜目『ツーリング先で』

これはMさんの友人が島根県で体験した話です。

大学時代の友人、AとBの体験。
AとBは夏休みに関西の大学から九州までツーリングを計画しており、自然を背景にバイクの写真を撮りたいという理由で、島根県鳥取県の山の道を通る予定にしていた。
しかしいざ出かけてみると山陰地方は雨が多く、島根県の途中で急激な大雨のため近くの民家に雨宿りをお願いしたそうだ。
ポツンと一軒家ほどではないが、近くに店などはなくバス停すらもかなりの距離にある場所に、おじいさんが1人で住んでおり、2人を見て服を貸してくれたり料理を出してくれてもてなしてくれたそうだ。結局夜になっても雨が止まなかったので、2人はそこで一泊することに。

お礼も兼ねて家の掃除などもしたと言っていたので、それを聞いた私は

「心温まる夏の思い出ができてよかったね。また挨拶にでも行ったら?」

と言うと、2人とも二度と行かないと言い出した。
理由を聞くと、翌朝とんでもない話を聞いたらしいのだ。
おじいさんの家に一泊した翌朝、早く起きたAは家の周りを散歩してみたそうだ。家から畑に向かう道を歩いていると、おじいさんの軽トラックの向こう側に裏山へ続く道があり、その入り口に綺麗で大きな石があったので近づいてみると「イセジング」と彫られていたそう。
その後、朝食を食べながらAが石についておじいさんに聞くと、おじいさんは近づかない方がいいと言い始めた。
しかし、面白そうなものを見つけてしまったAは強引におじいさんに話を聞いたらしく、結局濁しながらも石の意味を教えてくれたおじいさんの話を要約するとこうだ。

おじいさんの家の周りには戦争の頃までかなり閉鎖的な村があった。そこで伝染病が流行り始め、村の多くの人が死んで、生まれてくる子供は奇形の子供が生まれ始めた。村人は話し合い、こんな閉鎖的な村でも聞いたことのある有名な神を村に呼ぶことに。その方法が、大きな石に名前を彫りその下に死んだ村人や奇形の子供を埋めること。

どうやらAが見つけた「イセジング」とは村の人が聞き覚えていた「伊勢神宮」のことだった。おじいさんの話では、神様同士を近くにしてはいけないと思い込んだため、村の至る所に「出雲大社」や「厳島神社」も元にした石があり、祖先のことを思ったおじいさんが時々磨いているとの事。
そこでAとBは昨日大雨が降る前に休憩した場所のことを思い出したらしい。特に観光などのスポットではないのに大きくて綺麗な石があった。Bがそのことをおじいさんに言うと、それもおじいさんが時々磨いている石だと答えてくれた。

それからすぐ2人は家を出たのだが、途中の道に大きな石があるたびに恐怖を感じ、できるだけ街の道を通って残りのツーリングを終わらせたそうだ。
私は心霊スポットの近くを通りかかったくらいのことじゃないのかと思ったのだが、2人は「それ以上のことをしてしまった」と後悔していた。

と言うのも、元々かっこよくバイクの写真を撮りたかった2人は、石の周りでバイクを吹かしたり寝転がったりしてしまったようで、まさか下に奇形の子供や伝染病の死者が埋まっているなんて思いもしなかったそうだ。
祟りなんか信じていないとは言いつつ、やはり怖いので2人はあれから一度も山陰地方には行ってない。
ちなみに、地図アプリで見るとおじいさんの家やその周辺の様子は今もちゃんと確認できる。