八十夜目『公衆電話の声』
これは、Yさんが佐賀県K市で体験した話です。
Yさんが昔から霊感が強い方で、不思議な体験をすることが何度もあったとか。
例えば、幽体離脱のような経験をしたり、空中を漂っている白い人影を見たてしまったり。
ある日Yさんは学校の帰り道に、公衆電話の前を通った時の事。携帯電話が普及し、公衆電話などほとんど使われなくなっていたが、それでもまだ町中にはいくつか残っていた。公衆電話の前を通った瞬間、公衆電話が鳴った。
公衆電話を使った事はあったが、公衆電話が鳴っているのを初めてみたYさんは不思議に思い足を止めました。
鳴り続ける公衆電話。Yさんは自然と電話ボックスの中へ入って受話器を取ってみた。
「もしもし」
「…○○だけど、Yちゃん?」
電話に出た瞬間、相手が名乗った。しかも、Yさんは名前を呼ばれたそうだ。
その直後電話は切れてしまい、自分の名前を呼ばれたことが不気味で、Yさんは電話ボックスから逃げ出した。
いったい何だったんだろうと考えて、Yさんは、公衆電話から聞こえてきた相手の名前を知っている事に気付いた。
それは、去年死んだ同級生の名前。そういえば、あの子が亡くなったのはこれくらいの時期だったなと思いあたり、怖くなった。
何か伝えたいことがあったのかなと、とても怖い体験だったそうだ。