五十七夜目『憑かれやすい体質』
これは北海道I市での話です。
この話は、北海道に住むSさんの友人の実体験だ。
お盆のある日、当時高校生だった友人が家族みんなで海にに遊びに行ったそうだ。
元々友人には、霊を寄せ集めてしまう、気質(前世が僧侶)だったらしく数々の心霊現象を体験したことがある、珍しい人だった。
取り憑かれたら、お経を読んでも乗り移られた霊が表面上に出て『そんなもん効かねえんだよ』と大声を出して発狂したり、お祓いをしても全然効かないなんて事もある。
そんな人がお盆に海へ遊びに行くなんて、冷静に考えてみれば相当危険な事。
友人が海に入って泳いでいた時、溺れそうになったらしく、ライフセーバーの方が助けてくれた。
その時のライフセーバー曰く
「鉛のように重かった、もう少しで自分も引っ張られ溺れ死んでいたかもしれない」
と仰っていたそうだ。
なんとか、岸までたどり着き、応急手当て、海水などを吐き出させたり、息はしているのか確認しようと、うつ伏せの状態から仰向けの状態にしようとした瞬間、助けようとしていたライフセーバーは悲鳴を上げそうになったらしい。
なんでも、友人の顔の半分は苦しそうにしているのだが、もう片方の半分の顔は今まで見たことないような気持ち悪い笑みを浮かべていた。
命には別条はなく、その後お祓いを受けて、現在は体調も優れ元気に暮らしている。