これはAさんが栃木県A市で体験した話です。
私が小学５年生の時。のどかな田園が広がる村に住んでおり、学校までは歩いて1時間位の場所に実家はあった。その日は友達と遅くまでサッカーに夢中になり、日も暮れ気づいたら17時位になっていた。なんせ、田んぼや畑しかない本当に何もない場所なので、街灯も少なく自宅に帰るにはちょっとした森を抜けて、川を渡りやっとたどり着く場所に実家がある。
友達も、1人は近所の子なのでもう辺りは暗くなっていたので、２人で家路を急ぐ事にした。
友達とサッカーのシュートについて語りながら、森を抜けてちょうど川を渡り切ったとき。田舎者には珍しい、外車のポルシェが橋の出口の脇道に止めてあり中には、若い男性が３人と、女子高生が１人、制服が近所のねーちゃんの通ってる学校の物と一緒だったので、鮮明に覚えている。男性はイケイケなヤンキー風な感じで、女子高生は見るからにおとなしそうな感じの方で、田舎でポルシェが珍しいのと、こんな人けがない所で何をしてるんだ？と思い、ついジロジロ見ていたら、男性に
｢何みてんの？ぼく達｣
と窓を開けて言われ、言葉なまりもなかったので、東京から来た人と察したが、怖いので
｢ポルシェが好きなので｣
と訳のわからない事を言った。
とにかく、ここは早く逃げた方が良いと思い、友達と急いでその場を立ち去った。次の朝起きると、家に朝からおまわりさんが訪ねて来て、聞き込み調査をしたいらしく私は何もしてないけどな？と思ったが、聞かれた事に衝撃を受けた。
｢昨日、川の近くで不審な人とか見なかったかね？｣
と聞かれそういえばと思い、出来事を包み隠さず話した。そうして、おまわりさんは事情調書すると帰っていったが、親に詳しく聞くと女子高生の亡骸が川から早朝上がったそうだ。しかも乱暴されたみたいで、勿論すぐに犯人は捕まった。犯人はあの時の３人だった。
今思っても、どうして気づいてあげられなかったんだろうと悔やまれる。当時全国的な大きなニュースにはならない事件だったのだが、そのお姉さんの顔が今でもたまに夢に出てくる。
