十九夜目『目の前』
これはYさんが福島県I町で体験した話です。
数年前、若かったのもあり夜中に4人グループで心霊スポットに行ってみた。そこは福島県I町の幽霊ペンションという場所。
ナビを見ながら運転するがなかなか目的地に到着出来ず、イライラしているYさんに助手席の友達が
「この小道入れそうだよ」
と言ったので入ってみた。木々に覆われた狭い道に危ないなと思いながら一応徐行しながら運転した。
「なんもないじゃーん」
と友達に言われたのでライトをハイビームに切り替えると、すぐ目の前に目的地の幽霊ペンションがあり寒気が一気にきた。
普通にライトをつけていたのにそれでも気づかずハイビームにしてやっと気づいたのだ。普通のライトでも気づく距離にいたのにもかかわらず。
すると友達が
「導かれたみたいだね」
と言い出し、よくない事が起きそうな気がして思わずUターンをし、その日は解散して帰った。
数日後、また行ってみようという事になったのだが、出発の前日にまさかの事故にあった。ペンションに行った時のYさんの車だ。
何故か事故の時も、見通しの良い道を走っていたはずなのだが、気付くと丁字路にさしかかっており、すぐ目の前に迫っていた塀に気付くのが遅れて、減速が間に合わず正面からぶつかってしまった。これはもう来るなという意味だったのかもしれない。
結局Yさん達は、事故の件もありそれ以来はペンションはもちろん、そういう心霊スポットに軽々しく行くことを辞めた。そこでは車に乗せてきてしまうなどと言った話もあったのでもしかしたら乗せてきてしまったのか、その後2度の事故をしてしまいYさんは車を引き払った。