六夜目『教室の足音』
これはOさんが岡山県O市で体験した話です。
Oさんが小学生の頃、不登校気味で一人だけ学校の一番端にある教室で、受け持ちがない先生が交代で授業をしてくれていた。
その日、気分転換にでもと霊感を持っている先生が怖い話をしてくれた。
この話というのが先生が実際に体験した話で、内容までは覚えていないがOさんは背筋が凍るほどゾゾゾっとしたという。
チャイムが鳴ってその話が終わると、次の授業に先生は出ないといけないので、教室にOさんを一人置いて出ていった。
休み時間になり、廊下には遥か向こうから聞こえる子供たちの楽しそうな笑い声が何となく聞こえていた。
「みし…みし…」
すぐ背後で床の軋む音が聞こえた。教室の床は木製で、場所によっては踏みしめると音がするのだ。
Oさんはこの時、さっきの授業で怖がってる私を、次の授業の先生が驚かそうとしているんだと勘が働いた。
逆に驚かしてやろうと勢い良く振り返ったが、そこには誰もいなかった。
あれ、気のせいだったかな?振り向いた状態で気配を探っていると、目の前から何かが音を殺して忍び寄るように「みし…」と、鳴った。
「みし…みし…」
その足音は少しずつOさんの方に近付いて来ている事に気が付いた時、転びそうになりながら教室を飛び出した。
「あれ、どうしたんだ?」
廊下の先には次の授業の先生がいて、Oさんの慌てる姿を不思議そうに見ていた。
それからは特に何も無く、しばらく経って普通に登校出来るようになったので、あの足音が一体誰のものだったのかは分からないまま。足音に気付かずにそのままいたらあの時どうなっていたのか考えると、今でもとても怖いとOさんは話しました。
最後に…と、Oさんは霊感を持っている先生に足音について話した時の事を教えてくれました。
先生はOさんの話を聞いて、
「誰かがあなたとお友達になりたかったのかもね」
と言った先生の言葉が何故かとても怖かったそうだ。