【実話系怪談】忌奇怪会~kiki-kaikai~【本当にあった怖い話】

Twitter→https://twitter.com/kikikai76211126?s=09 怖い話を集めています。 ある程度見て頂ける人が増えたら、wordpressなどを使って原文も合わせて投稿したり、 コメントなど頂けた人気の高い話は朗読系YouTubeでも公開しようと考えています。 現在はまだまだ細々と、1日1話投稿出来れば良いかな…と。二次使用などはご相談下さい。

百八十五夜目『歯ぎしり』

これはBさんが熊本県U市で体験した話です。

私が小学生の時の事だ。
今はもう亡くなっているが、昔は熊本県に住む母親の祖母の家に、家族で毎年夏や冬ごろに帰省していた。
祖母の家は二階建ての一軒家で一階に居間・和室・祖母の部屋、二階が一室に母の部屋・母の妹の部屋があった。

祖母の家は日中は日当たりも良く、家自体も大きかったので子供だった私は楽しかった記憶があるのだが、夜になると必ず誰かに見られている視線がずっと続き、不思議に思っていたのだ。
夜に一階にあるトイレに行くときや、二階の部屋から一階に移動するときなどは自然と小走りで移動するようになっていた。
あの時までは、ただの自分の思い込みだと思っていた。

それはある夏の夜、家族で寝るとき兄が叔母が使用していたベットで、母は学生のころに使用していた自身のベットで、母のベットの隣に布団を敷き、私と父が一緒に寝ていた時の事。

ふと、目が覚めてしまったようだった。起きているのか寝ぼけているのか、曖昧なはっきりと覚醒しない意識の中で、凄い寒気と同時に隣で寝ている父の方から

「ギリギリ…ギリギリ…」

と歯ぎしりのような音が聞こえてきたせいで、なかなか眠りにつく事が出来なかった。

うるさいなと思い、父を起こそうと目を開けた時、隣で寝ていはずの父の首がありえない位置から90度に曲がり、短髪だった父の頭には長いぼさぼさの髪が生えて、まるで自分の足を見つめるさらし首のようだった。
この異常な光景に恐る恐る

「お父さん?」

と声をかけると、歯ぎしりの音と同時にそのぼさぼさ頭の首がゆっくり動き始めた。

「ギリギリギリギリィ――ッ」

次の瞬間、一層大きな歯ぎしり音と共に父の首は勢いよくこっちを向き、私を睨みつけてきた。
とっさに目を閉じたのだが、身体が縛られた感じで動けなくなったのと、

「ギリギリギリギリィ――ッ」

と絶えず聞こえる歯ぎしりの音がどんどん近づいてきて、冷や汗が止まらずどうしようと思っているといつの間にか朝になっていた。
あの後おそらく気絶したのだろう。それでも鮮明にあの異様さを覚えており親に伝えようと思ったのだが、なかなか言い出せなかった。
当時唯一聞けたのは、昨夜の父の歯ぎしりがすごくなかったかという事だけ。それでも家族の返答は静かだったというのだ。

この一件を親に詳しく言い出せたのは、私が高校生になってからで、祖母の家で怖い経験をした話をすると母から

「ずっと言ってなかったけど、私も昔あそこに住んでいた時は毎晩ずっと金縛りや歯ぎしりっぽい音が聞こえていたよ」

と言われた。
また、母もその件について祖父祖母や叔母にずっと相談していたが、そんなことないの一点張りで話をちゃんと聞いてくれなかったようだ。

最後に、母から聞いた話だとその土地は昔、狐塚(キツネヅカ)という地名であったことと、そこに沼があったらしく、その沼があった場所に建てた家や、沼があった周りに建てた家の男性のみが若い年齢で突然死や変死があったとの事。
そのため、母の近所の人の旦那さんがほとんど早くに亡くなっていたそうだ。
私の祖父もその地域の家で突然死している。

これは後日談になるが、祖母もその家で怖い体験をしたらしく、詳しい内容を聞こうとすると

「口が裂けても言えない」

とだけ言われ、引っ越しを決意しその家を売却した。
売却後すぐに誰かがその家を購入し、現在も住んでいるようだ。
私や母、祖母が経験したことが今現在も続いていないことを願う。