百八十四夜目『ナースコール』
これはEさんが岡山県O市で体験した話です。
いわゆる心霊スポットなどでの心霊体験といえば、見聞きした方は多いと思います。
幽霊って本当にいるの?心霊現象って本当に存在するの?と疑問に思う方も多いと思いますが、職業柄そういう現象とは多々出会うため心霊現象が本当に起こり得ない現象ではないのだと個人的には思っています。
私が体験した話、同僚などから見聞きした話はたくさんありますが今回はそのなかの1つのお話をしたいと思います。
岡山県の某所に存在する介護施設では、現在では珍しい建物ではありますが1人部屋でなく2人部屋の部屋が大半でした。本来であれば2人部屋のため2人の入居者で1つの部屋を使用するのですが、その部屋には全盲だった方が1人で利用していました。過去形なのは、その方が既に亡くなってしまったからです。
この施設はナースコールの受話器が壁に備え付けられている古いタイプの部屋で、その方も生前ナースコールを使用する際は壁まで手などで手探り状態で出歩きその受話器を使用されていました。その方が部屋で亡くなられてちょうど1日経ったか経たないかの時間帯。
深夜になる前の時間に、その部屋からナースコールの着信があった。フロア担当であった夜勤者の背筋は凍りついたそうです。亡くなって日が浅かったため、部屋の片付けなどをすることもなく。ただ、居室に施錠されただけの状態の部屋。ナースコールは受話器を外さなければ受信されないタイプのものだったため、誤作動にしても不自然。
本来であれば電話越しに会話を行えるのですが、その時は受話器に耳をつけることすらできなかったです。
部屋の確認にいきたくないのが本音ですが、受話器が何かの拍子でずれていたのだとしたら、直さなければナースコールが鳴り止む事はない。1人で部屋を確認に行くのは恐ろしいと夜勤者が話すため、当時残業をしていた私を含めた3人で部屋の確認に行きました。居室前まで辿り着き、部屋の解錠を行い居室に入ることにしました。
部屋には電気がついていないため電気をつけ、受話器の確認を行うと、受話器はいつも通り壁にかかっていた。つまりただの誤作動だったようでした。
誤作動にしてはタイミングが良すぎるのもあるなと思ったのは、その方が亡くなられた死亡推定時刻とそのナースコールの時間帯はほぼ一緒だったから。