百六十八夜目『ライダー』
これはHさんが兵庫県N市で体験した話です。
当時私が兵庫県で仕事をしていた時のこと。
N市に住んでおり、仕事も夜22時くらいまで働き、帰宅するのが23時半を過ぎてしまう事もよくあり、帰るのが遅い仕事をしていた。
休みの日にバイクで走るのが趣味だった私は毎週走りに行くのが楽しみだった。ある日に仕事が終わった後、休みの前日というのもあり、とある山を越えて遠出をしようとバイクを走らせた。
家を出発したのが夜中1時すぎ。ガソリンも入れ、走り出しは順調だった。
とある山に入った時。夜中というのもあり、怖さと寒さが同時に襲ってきた。怖いと思いながらも走っていると少し不安な気持ちになってきた。5分ほど走っていると、暗い峠の途中で大きな岩が目の前に現れた。
一旦バイクを止め岩を眺めていると、その直後後ろからバイクを運転してくる人がいた。どんな人かと通りすぎるバイクを見ると、そのライダーの首がなかった。
一瞬見えただけの光景で見間違えかもしれない、そう思ったがこのまま走り続けるのは危険だと察し、その日は家に帰る事にした。
次の日、テレビを見ていると自分が見た首のないライダーと同じバイクの人が、その山で事故を起こしたと報道があった。スピードの出し過ぎで事故を起こし、ヘルメットが離れた所に飛んでいってしまうくらい派手な事故だったようだ。
あのまま走り続けていたらと思うと、ゾッとする。