【実話系怪談】忌奇怪会~kiki-kaikai~【本当にあった怖い話】

Twitter→https://twitter.com/kikikai76211126?s=09 怖い話を集めています。 ある程度見て頂ける人が増えたら、wordpressなどを使って原文も合わせて投稿したり、 コメントなど頂けた人気の高い話は朗読系YouTubeでも公開しようと考えています。 現在はまだまだ細々と、1日1話投稿出来れば良いかな…と。二次使用などはご相談下さい。

百六十三夜目『事故物件に棲む者』

これはYさんが東京都H市で体験した話です。

2018年5月の事、私は結婚した為これまで住んでいた賃貸住宅が狭いと感じ、妻と引っ越しをした。
引っ越し先に選んだ物件はH市にある築16年の5階建てマンション、間取りは2DKで家賃が4万2000円という物件だった。
H市内の賃貸物件は東京23区内に比べ安いのですが、それにしてもこの家賃は安過ぎると思い、不動産屋に訳を聞いた。すると不動産屋はストレートに
「事故物件なんです」
と告げた。前の住人は50代の夫婦で奥様が室内で首を吊り自殺したからこの家賃設定のようだ。

私達夫婦は将来的には住宅購入を考えていたのでお金を出来るだけ貯めたかった、一生この物件に暮らすわけでは無いからという事でこの物件に住む事にした。
実際に住んでみると異様な事はスグに起こり始めた。住み始めてから1ヵ月経過する頃には突然観ていたテレビがプツンと消えたり、窓も開けていないのに室内のカーテンがユラユラなびいたりしだした。
私達夫婦は本当に危険な物件なのではと思いながらも暮らしていたが、こうした現象は日に日に酷くなっていった。

住み始めてから4ヵ月が経過すると夜中にシャワーの水が勝手にザーッ!と出たり、トイレの水が勝手に流れたりした。
そして住み始めてから半年経過した時に妻の身に異変が起きた。夜中1時くらいに二人で就寝していると突然妻がウゥ~···とうめき声をあげた。私はこのうめき声で目が覚めて妻のほうを見ると妻はゆっくりと布団から出て、キッチンのほうへユラユラと歩いて行った。喉でも乾いたかと思っていたのだがキッチンでゴソゴソと何かを探しているようだった。私は、
「大丈夫か?なにか探してるのか?」
と、何度か声をかけたが妻は全くの無反応だった。次第に気味が悪くなり室内の電気を点けると、妻の手には包丁が握られていて私のほうへうめき声を発しながらフラフラと歩み寄ってきた。

私はスグに妻から包丁を取り上げようと妻の腕を抑えつけたのだが、妻とは思えないような力で包丁は全く取り上げられず、一度妻から離れて携帯電話を手にして玄関の外へ出てから110番して警察の到着を待った。
数分後警官が来て事情を話すと警官付き添いのもと室内へゆっくりと向かった。家の中はしんと静まり返り、一部屋ずつ確認ししていくと妻はリビングのカーテンを首に巻き付けて倒れ込んでいた。警官がスグに救急車を呼んでくれたが、私は倒れ込んで意識を失っている妻に
「しっかりしろ!」
と声をかけ続けると、妻は意識が無いにも関わらず
「死ねば良いのに」
と呟いた。

妻はその後救急車で運ばれ命は助かったが、私は間違いなく以前この室内で暮らしていた自殺した奥さんの霊が妻に憑いたのだと思った。
妻はその後元気になったが私達夫婦はスグに解約し違う物件へと引っ越した。妻はこの出来事を全く覚えていないという。
事故物件は本当に怖いと実感した出来事だった。