百二十五夜目『予知夢』
これはPさんが兵庫県K市で体験した話です。
私は小学生になるかならないかの時期にある夢を見る事が多かった。
階段を登りきったところで小さな子と手を繋ぐ夢。
親にそのことを伝えるととても驚いた顔で、
「実は今お腹の中にあなたの兄弟になる子がいるのよ」と教えてもらった。
母は予知夢かしらなんて言いながら驚いていたが、私自身その頃まだ幼かったため、不思議な現象に出くわしていることには気付かず、ただ自分に兄弟ができるのをずっと楽しみにしていた。
その後無事に産まれてきた私の弟。本当に可愛かった。みんながみんな祝福してくれてとても楽しい日々を送っていた。
だが私には気になることがあった。
夢で手を握っていたのは女の子で、男の子ではなかったのだ。
てっきり妹かと思っていたのだが産まれてきたのは弟。
それでも嬉しい気持ちの方が勝ってさほど気にはしていなかった。
私が小学高学年になった頃、またその夢を見るようになった。
登りきった階段の上でその女の子と手を握る、ところまでは一緒なのだが、
ふと階段の下を見ると、母が階段から落ちる場面に切り替わった。
私は怖くなってすぐ飛び起きたが、それから何度もその夢を見続けた。
そんなある日、母が交通事故に巻き込まれた。
命に別状はなく後遺症の心配もないため入院などせず帰ってきてくれたが、本当に私も寿命が縮まる思いをした。
夢とは無関係だったのかもしれないが、その日からあの夢は見ることがなくなった。
なにかされたわけではないと思いたいが、一体あの女の子はなんなのか、そもそもあの夢自体、一体どういったものなのか。
ただ次もしもその夢が出てきたときは、それなりの覚悟が必要な気がしてならない。