七十八夜目『罰当たりな祖父』
これはCさんか群馬県K市で体験した話です。
もう亡くなってしまった明治生まれの祖父が引き起こした体験だ。
当時私が小学生の頃、自宅の仏壇が古くなったので奮発して立派なものに新調した。
次の日、朝一番に祖父が
「昨日は地震があった」
と言い出した。家族はみんな「なかった」と答えたのだが、あったけど気が付かなかったのかもしれないなと気にもとめなかった。
その次の日も
「地震があった」
と祖父は言うのだ。二日連続気が付かないなんてことはないので、その時は家族全員で否定した。
しかし次の日もまた
「地震があった」
そんなはずはないと祖父以外の家族でどこが揺れていたのかと聞くと
「仏壇の中の位牌が夜中にずっとガタガタしてる」
と答えた。そういえば古い仏壇がどうなったのか誰も知らなかったので、祖父を問い詰めると
「畑に持っていって鍬でバラバラにして燃やした」
という答えが返ってきた。
その後、新しい仏壇に適当に位牌を並べたこともわかり、家族は普段の祖父ならやりかねないと思ったが、あんまりなやりかたにみんな唖然としていた。
この話を聞いていた信心深い祖母は
「先祖の祟りに違いない」
と檀家になっている寺に相談に行くと、
話を聞いた和尚様も呆れながら家に来て
「新しい仏壇には魂入れをしないといけない」
とお経をあげて頂いた。
そこで我が家の地震騒ぎはやっと収まった。
先祖がポルターガイストを起こしたことも驚きだったが、
「先祖のために新しい仏壇を買ったのになんなんだ!古いものなんかただのゴミだろ」
と怒っている祖父のほうが何倍も怖かった記憶がある。