【実話系怪談】忌奇怪会~kiki-kaikai~【本当にあった怖い話】

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三十二夜目『母と祖母の確執』

これはKさんが東京都H市の実家に帰省した時の話です。

Kさんの家は古くから地元に建っており、子供の頃に二世帯住宅に改装したものの、なんとなく薄暗い雰囲気が付き纏っていたそうだ。
少し前に同居している祖母が亡くなったのでお盆では精霊馬を作り迎える予定だったが、生前の母と祖母の不仲を知るKさんは、少し複雑な気持ちだった。

実家に帰って仏壇にお線香を手向けた時ふと違和感に気付いた。
仏壇に捧げられた果物が悪くなって黒ずんでいる。
まさか憎い相手だからと、腐った果物を仏壇に上げるわけはないと思いつつ、母に確認すると

「今日の午前中に買ってきたものよ?買った時から傷んでたのかしら…」

と、母にも思い当たる事はないそうだった。
Kさんは不思議に思ったがそういうこともあるだろうと片付けて新しい物を置いて、精霊馬を作る事にした。

母と手分けして茄子やキュウリに割り箸をさし表に立てると、不格好だがなんとか様になり、家の中で作業をして庭の手入れをしたあと家に戻ると、ある物が目に入り思わず

「あっ!」

と叫んでしまった。
なんと母が作ったキュウリの馬だけだが真っ黒に腐っていたのだ。
家の中に置いていた時間はせいぜい3時間程度、時間帯は涼しい夕方なので野菜が腐るなんてありえない。
恐怖を感じたKさんは仏間に戻り、祖母の遺影にお線香を手向けてお経を唱えた。

すると真新しい遺影が風もないのにパタリと倒れ、その裏から黒い靄のようなものがフッと立ち上がり、空気に溶けて消えていくのが見えた。
空気に溶け込む寸前、黒い靄は怨嗟に歪んだ老婆の顔を形作ったのだが、Kさんにはそれが祖母の顔に見えた。

祖母は母を恨んで出てきたのか?
成人後はめったに実家に帰らなかったので母と祖母の起きた出来事は想像するより他ないが、薄気味悪さを感じたそうだ。